こだわりの「おんびき」

おんびきと聞いて何を指すかわかる方いらっしゃいますか?
伸ばす音を表す「ー」横棒のことです。
今回はこの「おんびき」に関するお話です。
「おんびき」は活字を扱っていると様々な場面で登場します。
特にメニューの制作などをしていると登場回数は多いかな?と感じます。

当時の私はメニューの制作をしていてもおんびき「ー」だけを意識することはありませんでした。
例として「パルミジャーノレッジャーノとルーコラのサラダ」と言うメニューがあったとします。
このメニュー名には3箇所のおんびき「ー」が入っています。
私がこのメニュー名を扱うとしたら文字詰めには気を使うと思います。
しかし丁寧に文字詰めをするだけでしょう。
メニュー名がスペースに収まらなければメニュー名全体の横幅を狭めたり、改行したりと色々とやるとは思います。

当時お世話になっていた飲食店のメニューデザインと印刷を専門に請け負っていた会社の社長さんは違いました。
「パルミジャーノレッジャーノとルーコラのサラダ」(メニュー名は例です)のおんびき「ー」の部分だけ長く感じる、バランスが悪い、と指摘を頂きました。
最初は意味すらわかりませんでした…が、おんびき「ー」の横幅も長いと感じたら個別で調節しないといけないと言う指摘だったのです。

驚きました…。
今まで文字詰を丁寧にやるだけで満足していた訳ですから。
おんびき「ー」の横幅を個別に調節してバランスを取ると言う事を意識した事は無く、横幅が長すぎると感じた事もありませんでした。
活字のデザインがそうなっている訳だからそのままで良いだろうと思っていた訳ではありませんが、
どちらかと言うと大雑把な自分は気になった事が無かったと言った方が正しいと思います。

意味としては添付の画像の感じです。
ここまでやるか…と感じる方もいると思います。
しかし良い、悪いではなく社長の指摘に隠されている真意は、自分の感覚を鍛えろと言う事だったと今になって思います。