紙焼き機(トレースマシン)の思い出

デザイン会社に入れてもらったばかりの頃、
私の仕事の一つに「紙焼き」と言う作業がありました。
企業のロゴが印刷された「清刷り」と呼ばれるロゴの原本を元にして、
使用する大きさに拡大または縮小して印画紙に焼き付ける作業のことを言います。
手順は、
・トレースマシン下部にある原稿台に原稿をセットします。
・ライトを原稿に当てて、レンズを通して拡大または縮小します。
・大きさが決まったら印画紙をセットして撮影します。
・トレースマシンの横にある現象液に印画紙を通します。
・少し待ってから水洗いします。
(記憶があやふやで抜けている項目がありそうです)

トレースマシンは遮光カーテンで囲われた狭いスペースに置いてあり、
「このロゴを幅50ミリで紙焼きして!」と言うような指示があると、原本となる清刷りの大きさから拡大、縮小率を計算してから
遮光カーテンの中に入り紙焼きをしていました。
現象液の匂いは酢酸の香りで当時の記憶とセットになっていて、
当時のことを思い出すと匂いまで蘇ってくるような気分になります。
仕事がほとんど出来なかった頃、数え切れないくらい紙焼きをしました。
でも紙焼き作業は嫌いではなく、どちらかと言うと結構好きでした。
デスクがあるスペースとは遮光カーテンで区切られているだけなのですが、
自分にとってホッとできるスペースだったのかもしれません汗

令和の現在、トレースマシンを使っている人はほぼいらっしゃらないと思います。
トレースマシンはスキャナーへと変わり(スキャナーも減ってきていますよね…)、
ロゴはデータ化されて、拡大縮小も一瞬で出来るようになりました。
もう30年近く前の事ですから当たり前ですね。
その会社でもMacが導入されてしばらくするとトレースマシンが処分された記憶があります。

こちらがトレースマシンです