初めてお世話になったデザイン会社に入ったのは22歳になったばかりの頃でした。
父親の友人のデザイン会社にコネで入れてもらい半年間は無給(交通費は頂いていました。)でやっていました。
何も出来ないのですから当然です。
その後、半年を過ぎてからは6万円を頂くようになったと記憶しています。
とは言え月給6万円ですので仕事の戦力としてはゼロに等しいと言っても言い過ぎではなく、
先輩デザイナー達の仕事の下準備、雑用に加えて基礎の勉強をさせてもらっていました。
とは言え最初のうちは仕事の下準備もできる訳がなく、邪魔ばかりしていたんだと思います。
下準備と雑用以外には版下のベースの用意をやらせてもらっていました。
「版下(はんした)?」と言う方も多いと思います。
版下とは印刷の原稿となる物で、製版フィルムを作る元になる物と考えてもらえば良いと思います。
A4サイズの1枚ものを作ると仮定して簡単にご説明します。
今ならイラストレーターを立ち上げてA4サイズの長方形を作り、効果〜トリムマークで準備完了です。
それが30年前には手書きで準備する訳です。
スノーマットと呼ばれる厚紙に、
1.50センチの直定規と30センチの三角定規を使い、ステッドラーの製図ペン(青芯)でA4サイズを書きます。
2.トリムマークになる部分には点を打つなどして印をつけておきます。
3.ロットリングと呼ばれるペン(確か0.15ミリの太さの物でした。)でトリムマークになる部分をなぞります。
これがなかなか難しく…。
A4サイズの四角を書く時点で定規が微妙に動いて四角が歪んでしまったり、メモリの見間違いで大きさを間違えてしまったり。
自分はかなり飲み込みがゆっくりな方でしたので、やり直しは数多くやらせてもらいました。
書き上がったA4サイズにトリムマークが付いた物(版下のベース)に、写植、写真のアタリなどをペーパーセメントで貼り付け、
出来上がったらトレーシングペーパーをかけて最後に色指定をして完成となります。
版下は白黒の物ですので色指定をしなければ製版屋さんに受け取ってもらえません。
ここのベタはM100+Y100…文字は白抜き…写真角版アタリケイなどなど。今は最初からカラーで作業するのが当たり前ですが、当時は色校正が出てくるまでは頭の中でカラーになった状態を想像して色指定をしていました。ですので色校正を見て想像と違った!!なんて事も多々ありました。